
ロシアの富豪アブラモビッチ氏、知事職からようやく解放
2008年7月4日21時55分
【モスクワ=星井麻紀】英国のサッカークラブ「チェルシー」オーナーでロシアの大富豪アブラモビッチ氏(41)が3日、ロシア北東端の極貧地域とされるチュクチ自治管区の知事職から「解放」された。約2年前から辞任を望んでいたが、任免権を持つ大統領が許可しなかった。地方振興やサッカーのロシアチームに多額の私財を投入した「貢献」が認められたようだ。
ソ連崩壊後、国営石油会社の民営化で富を築き「石油王」に。エリツィン元大統領の側近グループの一員でもあった。チュクチ振興のためにと立候補した00年の知事選(当時は選挙制)で当選。同地に住まずに知事を務めていた。
その後、チュクチでの基盤整備に使った私財は15億ドル(1500億円)とされる。サッカーでも財政面で強力に支援し、ロシアチームのヒディンク監督の年間400万ドルの給料のほか、施設整備など年間5500万ドルを負担。6月の欧州選手権でロシアは4強に入る躍進を見せ、国民に「サッカー・ナショナリズム」を巻き起こした。
06年に「チュクチでの課題は終えた」として当時のプーチン大統領に辞任を申し出たが、却下。今回、メドベージェフ大統領に承認された。
米雑誌「フォーブス」によると、07年のアブラモビッチ氏の資産は187億ドル。世界長者番付16位。ロンドンに3億ドルの豪邸を持ち、ロシア人モデルとの再婚話もある。