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スペイン決勝へ　連係自在、流れ呼ぶ　欧州選手権

2008年6月27日14時38分



スペインがパスに苦しんでいた。ミスにアラゴネス監督が「落ち着け」とジェスチャーを送る。前半なかば、ボール保持率が４５％まで落ちた。持ち味が消えていた。

　エースのけがが打開のきっかけになる。４得点で大会トップのビリャが足を痛めた。代わりがＦＷではなくＭＦセスク。「中盤が問題だった」という指揮官の決断だった。

　前半３４分、シャビ、イニエスタ、シルバ、セスクが２列目に並ぶ。１７７センチのセスクのほかは１７０センチ。大柄のロシアに少年が挑むようだが、ただの４人ではない。テクニック重視のスペインの粋だ。変幻自在な連係に「４人の創造者」と呼び名が付く。

　予選ではこの布陣で戦った時期もある。なじみの４人が短いパスをつなぎ始めた。「経験あるワンタッチサッカーを止めるのは難しかった」とロシアのヒディンク監督。流れが変わった。

　後半５分、シャビがイニエスタに球を預け、ロシアＤＦの間を縫ってゴール前に飛び出す。ドンぴしゃの折り返しをもらい先制。パス回しで主導権を握り続け、保持率は試合全体で５２％に盛り返した。

　「テンポの速さが体格で勝る相手を疲れさせる」とアラゴネス監督。伝統のパスサッカーを貫いたことに「決勝進出と同じくらいうれしい」と６９歳の知将は誇った。（村上研志）