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ミサイル防衛の溝埋まらず 米ロ首脳会談
2008年04月07日01時43分
【ソチ(ロシア)=大野正美】ブッシュ米、プーチン・ロシア両大統領は5、6の両日、ロシア南部のソチで会談し、安全保障分野など今後の両国間の協力を包括的に定めた「戦略枠組み宣言」に調印した。だが、ロシアが強く反対してきた米国の欧州でのミサイル防衛(MD)施設建設計画については両国の立場の違いは埋まらず、ロシアの懸念を解消するための協議を今後も継続・強化することで合意するにとどまった。
「宣言」は、5月にロシア、来年1月に米国で新大統領が誕生する政権交代期に両国関係に空白を作らず、協力を発展させるのが狙い。
宣言でロシアはMDに関して、米国が提案した信頼と透明性を高める措置を評価。実行されればロシアの懸念は緩和できるとした。09年に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる法的拘束力のある合意と戦略兵器の可能な限りの削減を目指すことや、核不拡散やテロ対策、経済の各分野でも、引き続き両国が協力を深めていくこともうたった。
会談後の記者会見でプーチン氏は、「MD問題で我々の(反対の)態度に変化はない」と強調したうえで、「米国は我々の懸念に配慮を始めている。将来の合意達成には楽観的だ」とも述べた。
ブッシュ大統領は6日、5月にロシア次期大統領に就任するメドベージェフ第1副首相とも会談、7月の北海道での主要国首脳会議(G8サミット)で再会談することで一致した。会談でメドベージェフ氏は「我々の関係が途切れず、さらに発展するようにしたい」と強調した。
米国がポーランドに迎撃ミサイル基地、チェコにレーダー基地を設置する構想。ブッシュ政権がイランのミサイル脅威などを理由に04年ごろから両国と協議を始めた。ロシアは自国が標的にされているとの疑念から強く反発。ロシアは07年6月、アゼルバイジャンのレーダー基地の共同利用を米に逆提案した。